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途方に暮れる 犬とよばれる でも生きてゆく

既読だと勘違いしていた「神々の山嶺」を小説版と漫画版で立て続けに読みました


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夢枕獏による山岳小説「神々の山嶺」。この作品の実写映画版のキャストが先日発表となり、ネットでも話題となりました。
<岡田准一>エベレスト登山に挑戦 阿部寛、尾野真千子と初共演 (まんたんウェブ) - Yahoo!ニュース
この小説、以前に山岳小説やエベレスト関連の書籍を集中して読んでいた時期に読んだものだとばかり思っていたのですが、どうにも内容が思い出せない…。
ということでKindleで試し読みをしてみた所、やはりこれは読んだことがない小説ということにようやく思い当たり(笑)、今更ながらに読んでみました。話題になったベストセラー作品ですし、評判通りの面白さで通勤時間を使って数日で読み終えましたが、これだけの作品を既読だと勘違いしていたなんて、我ながら情けなくなります…。

神々の山嶺(上) (集英社文庫)

神々の山嶺(上) (集英社文庫)

神々の山嶺(下) (集英社文庫)

神々の山嶺(下) (集英社文庫)

有名な物語なので、内容の紹介は端折りますが、エベレスト初登頂の謎を残したまま行方不明となったイギリスの登山家、ジョージ・マロリーのカメラを切っ掛けに、その謎を追う日本人カメラマン深町と、同時代に生きる伝説の登山家羽生という2人の登山家を軸にストーリーは展開していきます。ミステリー要素も絡めながらも、綿密な取材が積み重ねられたと思しき骨太の山岳小説は、山やアウトドアに興味のある人間ならずとも、引き込まれてしまう作品でしょう。

さて、この小説には(「孤独のグルメ」や「犬を飼う」でもお馴染み)谷口ジロー氏による漫画版もあります。漫画版の存在は一応知っていたのですが、小説版を読んだことでこちらも気になってしまい、先週末に漫画文庫版をまとめ買いし、一気に読んでしまいました。
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神々の山嶺 全5巻セット (集英社文庫―コミック版)

神々の山嶺 全5巻セット (集英社文庫―コミック版)

小説版の登山シーンの描写にも手に汗を握りましたが、谷口ジロー氏の恐ろしいまでの作画の細かさには度肝を抜かされました。小説版で読んだばかりのストーリーだというのに、ここまで引き込まれてしまうなんて! 小説を読みながら頭の中で描いていたネパールの雑踏、過酷な山岳シーン、そして深町というキャラクターのルックスが自分の想像とかなり重なっていたことに驚きました(羽生は想像よりも綺麗めかな)。小説版とはやや異なる味付けのされたエンディングも感動的で、小説を先に読んだ人でも充分に楽しめる作品だと感じました。
神々の山嶺(いただき) (1) (集英社文庫―コミック版 (た66-1))

神々の山嶺(いただき) (1) (集英社文庫―コミック版 (た66-1))

神々の山嶺(いただき) (2) (集英社文庫―コミック版 (た66-2))

神々の山嶺(いただき) (2) (集英社文庫―コミック版 (た66-2))

神々の山嶺(いただき) (3) (集英社文庫―コミック版 (た66-3))

神々の山嶺(いただき) (3) (集英社文庫―コミック版 (た66-3))

神々の山嶺(いただき) (4) (集英社文庫―コミック版 (た66-4))

神々の山嶺(いただき) (4) (集英社文庫―コミック版 (た66-4))

神々の山嶺(いただき) (5) (集英社文庫―コミック版 (た66-5))

神々の山嶺(いただき) (5) (集英社文庫―コミック版 (た66-5))

あと、ネットでよく見るこのシーンの画像は、この漫画からの抜粋だったんですね(笑)
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2016年完成予定ので映画版では羽生を阿部寛が演じるということで、(背が高すぎる気はするものの)獣のような男臭さを感じさせてくれる演技を期待したい所(若い頃の羽生も阿部ちゃんがやるのかな?)。ネットなどでは「佐藤浩市で」という声も多かったようですが、個人的には若い頃の佐藤浩市が深町のイメージかなぁ、なんて。真田広之辺りもいいけど、ちょっと歳が行き過ぎかなー、って私も日本映画のスターシステムに毒されすぎですかね…。岡田准一君はやや若い気もしますが、「軍師官兵衛」での老け演技も頑張っていましたし、期待したいですね。エベレストを含むネパールロケも慣行されるとのことで、無事撮影が進むことを祈っております。
エヴェレスト 神々の山嶺(かみがみのいただき) - 映画・映像|東宝WEB SITE

http://www.flickr.com/photos/43928776@N04/14003463512
photo by umbertodpc

エベレストで起こった山岳事故を複数の証言から読む

さて、私はエベレストはもちろんネパールにも足を踏み入れたことはないのですが、この作品をかなりリアリティを持って楽しめたのには、1996年に起こったエベレストでの大量遭難事故についての書籍をいくつか読んでいたことがあります。ヒマラヤ商業登山(公募登山)についての是非を巡って紛糾する切っ掛けにもなったこの事故は、日本人の女性登山家(セブンサミット最後の挑戦がこのエベレストでした)が犠牲となったことでも、当時大きなニュースとなりました。
1996年のエベレスト大量遭難 - Wikipedia

マウンテン・マッドネス隊のガイドを務め、そのガイドとしての責務について事後に批判の対象となったアナトリ・ブクレーエフによる(G.ウェストン・デウォルトとの共著)「デス・ゾーン8848M:エヴェレスト大量遭難の真実」。ちなみにブクレーエフ氏は87年にアンナプルナで遭難死しています。

デス・ゾーン8848M―エヴェレスト大量遭難の真実

デス・ゾーン8848M―エヴェレスト大量遭難の真実

  • 作者: アナトリブクレーエフ,G.ウェストンデウォルト,Anatoli Boukreev,G.Weston DeWalt,鈴木主税
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1998/09
  • メディア: 単行本
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そのアナトリを自信の著書で強く批判した、アドベンチャー・コンサルタンツ隊の顧客であったアウトドアライターのジョン・クラカワーによる「空へ」。事故全体を捉えたレポートとしては分かりやすい作品なのですが、アメリカ人ライターによる(別隊の)ロシア人ガイドの露骨な批判がやや鼻につくと感じてしまったのも事実。
空へ―「悪夢のエヴェレスト」1996年5月10日 (ヤマケイ文庫)

空へ―「悪夢のエヴェレスト」1996年5月10日 (ヤマケイ文庫)

そして、クラカワー同様にアドベンチャー・コンサルタンツ隊の顧客であり、7800m台に置き去りにされながらも、奇跡の生還を果たしたベック・ウェザーズによる「死者として残されて:エヴェレスト零下51度からの生還」。
死者として残されて―エヴェレスト零下51度からの生還 (海外ヒューマン・アドベンチャー・シリーズ)

死者として残されて―エヴェレスト零下51度からの生還 (海外ヒューマン・アドベンチャー・シリーズ)

  • 作者: ベックウェザーズ,ステファンミショー,Beck Weathers,山本光伸
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2001/12
  • メディア: 単行本
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極限状態から生還した彼等が語るエピソードは三者三様でそれぞれに食い違いも見られるものの、この未曾有の大事故について多角的に読むことができる興味深い書籍だと言えるでしょう。

また、アドベンチャー・コンサルタンツ隊の顧客であり、日本人2人目の女性エベレスト登頂者(そしてセブンサミッター)となりながらも、下山中に還らぬ人となった難波康子氏についての記述は、こちらの本に記されています。。

エヴェレストの女たち

エヴェレストの女たち

エベレスト、いかかこの目で見てみたいものですね。足腰が丈夫なうちにエベレスト街道のトレッキングに行くのが我が家の(私の?)夢の1つでもあります。
http://www.flickr.com/photos/77759596@N00/8373119603
photo by Frank Kehren