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人々の思いを乗せて打ち上がる農民ロケット! 秩父の「龍勢祭り」を見てきた


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10月最初の日曜日となった9日。秩父市の吉田地区に伝わるお祭り「龍勢祭り」を見てきました。「龍勢」と呼ばれる長さ20m弱の巨大なロケット花火が、一筋の白煙と共に天高く打ち上げられる、椋神社の例大祭です。

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(翼天飛流:東京大学&垣堺精機/昇り忍龍 百花繚乱 紅の翼)(※以下、龍勢の写真下に[流派:奉納者/龍名]を記載)

地元では「農民ロケット」とも呼ばれている(どの時代に生まれた言葉なのでしょうね)「龍勢」。1つ1つの龍勢は、個人から企業まで様々な奉納者がそれぞれの思いや願いを込め、地元に伝わる各流派が思い思いの趣向を凝らして、丹念に作り上げたものだそうです。

吉田龍勢保存会のホームページにはこのような記述も…

NHKの取材班がアメリカ航空宇宙博物館の局員に龍勢の資料を見せたところ、非常な関心を寄せ、「もしも世界中の物理学者が吉田の龍勢を知っていたら、宇宙ロケットの歴史はもう10年早く始まっていただろう」と語ったそうです。(吉田龍勢保存会HPより)

マジか! 下町ロケットならぬ農民ロケットすごいや!

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あの花から5年、初めて龍勢まつりを見られることに!

アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の劇中で、重要なキーワードとなったことでもお馴染みの「龍勢」。この祭りについては、以前から秩父の義実家で聞いていましたが、実際に関心を持ったのは、やはり「あの花」放送以降のこと。

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といっても、実際に足を運んだことはなかったのですが、Twitterなどで話を聞いているとやはり生で見てみたいかも? ということで先月秩父に行った際、義父に相談してみたところ、地元のつてを使って桟敷席を予約して貰うことができました。感謝!

龍勢祭りが行われるメイン会場は、龍勢祭りを催す椋神社(むくじんじゃ)の周辺になります。有料の桟敷席の他、無料の観覧スペースなども設けられているので、有料席の予約がなくても十分に楽しむことができます。

この日は朝から雨模様だったこともあり、昼頃の到着を目指して義父たちと西武秩父駅で待ち合わせ。現地に到着すると丁度、午後の部2発目の龍勢が上がった所を見ることができました(全30発のうち、12番目からの鑑賞でした)。
予約して貰った桟敷席は、お弁当と各種お酒を含む飲み物付き。帰りの運転手を買ってくれた義母に感謝しつつ、贅沢なお祭り鑑賞の始まりです!

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椋神社の前に広々と作られた桟敷席。既に大勢の観客で賑わっています(それでも天候のせいか今年は例年より随分空いていたとか)。左手の奥に見えるのが、奉納者や製造流派など関係者が上って、打ち上げ前の挨拶を行ったり、独特の「龍勢口上」を詠み上げる口上櫓です。

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また、椋神社の境内や周辺には多くの屋台や出店の他、あの花絡みの龍勢グッズなども販売されています。

龍勢が打ち上がるのは15分に1発のペース。午前中の祭りスタートから(龍勢打ち上げは8時40分から)、全27の流派、合計30発の龍勢が順番に打ち上げれていきます。かなり長丁場のお祭りなので、桟敷席でお酒を片手にノンビリと鑑賞するスタイルが合っているかもしれません。

龍勢が打ち上がるのは安全のために立ち入りが制限された、柵の向こうにある龍勢櫓(発射台)から。望遠レンズを使っていますが、実際には100m以上の距離が離れています。

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(舞天流:久長元区/龍頭 唐傘 煙火 獅子の舞)

龍勢の発射準備中。櫓の中にやや斜めに見える長い竹の棒(矢柄)が龍勢の本体です。周りにいる人と比較するとその大きさ(長さ)が分かるかと思います。

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各龍勢は、桟敷席の前の道を通って、発射台まで運ばれていきます。龍勢の先端には、空中で広がる落下傘(パラシュート)や花火など流派ごとの仕掛けが施されているそう。

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そして緑の縄でぐるぐる巻きにされているのが、ロケットの推進力となる火薬筒。まさに、超巨大なロケット花火であることが分かります。

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あの花の劇中でも主人公たちが自分たちで作った龍勢を運ぶ描写がありましたが(第10話「花火」)、実際の龍勢本体はそれよりも遙かに大きく見えます。

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龍勢たちが「昇る・開く・煌めく」

さて、この龍勢。天高く飛んでいけば成功、という訳ではありません。まずは白煙を噴き上げ、昇り龍の如く天高く昇っていくのが第一段階。そこから落下傘が開き、矢柄を吊りさげ、同時に煙幕や花火を煌めかせながら、ゆっくりと矢柄が降りてきて大成功!なのです。

こちらは、発射の直後からやや空中分解気味の龍勢。

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(舞天流:久長元区/龍頭 唐傘 煙火 獅子の舞)

煙幕は見事に上がってますが、落下傘は開かず早々に矢柄は落下してしまいました…。大失敗という程でもなく大成功でもない、小成功(小失敗?)といった感じでしょうか。

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…なんてハプニングも含めて龍勢祭りのお楽しみ。中には櫓で煙や炎を吹くだけのものや、その場で爆発してしまう龍勢もあります。成功率は私の見た午後の部だけでも50%位だったかも(義父に聞いた話では、前年の実勢から成功率の高そうな流派が、お昼前後のいい時間を貰っているとか?)。
それだけに、成功すれば大いに喝采が上がりますし、失敗してもそれはそれで盛り上がります。そして、綺麗に打ち上がった龍勢の煙の軌跡はとても綺麗。

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(秋雲流:(有)ナカケン/2016 新社屋完成記念 祝いの龍)

真っ白な曇り空がバックなのが、つくづく残念です(笑)

午後のいい時間に登場したのは「超平和バスターズ」奉納の、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。龍勢」。口上の前にはめんま役の声優、茅野愛衣さんのメッセージが流されました(以前、ご本人が櫓に上がって口上を述べたこともあるそうです)。

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あの花龍勢、打ち上げシーンの写真は、曇り空バックでいい写真が撮れなかったので省略しますが(笑)、見事に成功して喝采を浴びていました。空中ではあの花模様のパラシュートの他に、パラグライダーも広がりました。

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(巻神流:超平和バスターズ/あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。)

そういえば、会場のあちらこちらにあの花コスプレイヤーさんの姿も。こちらの超平和バスターズは大人気で、引っ切りなしに記念撮影に応えていました。

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打ち上げ前の龍勢口上も見所、聞き所のひとつ。このお兄さんはかなりの名調子でした。YouTubeで「龍勢 口上」で検索してみると、過去の口上が色々と見られると思います。

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こちらの女性も見事な口上を聞かせてくれました。口上の合間に「よぉ〜〜〜っ!!」と観客が合いの手を入れるのも祭りの一体感を高めます。

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この日、見た中でのベストだったのが、こちらの龍勢でしょうか。風がなくなり、青空も見えてきた16時、真っ直ぐに天高く昇っていきました。落下傘まで完璧でした。

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(翼天飛流:東京大学&垣堺精機/昇り忍龍 百花繚乱 紅の翼)

長い竹の矢柄ですが、なんと打ち上げ時の重さは30〜40kg近いのだとか。それがゆっくりと空から降りてくるのですから、落下傘も相当に大きなものなのでしょうね。

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火薬を大量に使った龍勢。落下傘などに火がついたまま山の中の落ちることもあります。このときはすぐに火は消えましたが、過去には軽い山火事になりかけたり、軌道を外れた花火が観客席の中に突っ込んだこともあるそうです。

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失敗した龍勢たちだって味わい深い

これだけの複雑な仕掛けが施されている訳なので、当然上手く行かない龍勢だってあります。しかし、そこは悲観的にならず「ゴメンナサイ、また来年!」と、潔く櫓を引き上げていく各流派の方々。
この龍勢は勢いよく発射されたものの、綺麗な放物線を描いたまま開くことなく山の向こうへ消えてしまいました…。

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(高雲流:祝 金婚式大場夫婦 末長く、「ただおちゃん・まこちゃん」号)

龍勢櫓(発射台)ではねてしまう(爆発してしまう)龍勢。

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(開進流:生和家、秩父土建と龍志會/火鳥風月 天祐の舞)

上がりきらずに開いてしまう龍勢。

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(開祖昇雲流:(株)トップ工業/—希望—みんなの願いと共に大飛翔!)

この龍勢も櫓の中で大爆発!

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(開進流:開進流/蒼空に舞う 冬覚の耀き)

ラス前の龍勢も残念ながら…。

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(源流会:埼玉機器(株)&源流会/カイドウ街道 華の龍勢・源流の星)

そして、この日最後の龍勢も、発射台で派手に炸裂してしまいました!

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(日の本流:上野、釜の上、赤柴耕地/日の本流煙火 魂と絆で送る 日の本の舞)

危険な火薬を使っての、これだけの大がかりな仕掛けですから、恐らく事前にリハーサルの打ち上げなどもできないはず(消防、警察、各方面への確認だけでも大変でしょう)。
奉納者、各流派制作者の様々な思いが込められた、年一度の一発勝負。失敗したらもちろん相当に悔しいはずなのですが、それすら笑い飛ばしてしまおうというポジティブな空気が、会場には溢れていました。

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* *

龍勢祭りを紹介した面白い記事がありましたので、リンクしておきます。祭りの発祥、歴史などについても、かなり詳しく記されています。
ダイドー祭りドットコム2016 | これまで応援した祭り | 2013年の龍勢祭

流星祭を見るには… 吉田地区へのアクセスなど

さて、流星祭が行われる秩父市の吉田地区へのアクセスですが、秩父の市街地から若干離れているため自家用車、又は「西武秩父駅」か「皆野駅」(秩父鉄道)からのバスを利用することになります(流星祭当日は直行バスも運行されます)。

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祭り当日は会場周辺が交通規制され、車で椋神社に近づくことはできませんが、周辺には数カ所の無料臨時駐車場が設けられます。この日、我々が車を駐めたのは、吉田川沿いの駐車場(第三)。会場への距離が比較的近い駐車場ですが、ちょっとした山道(という程でもない)を歩くことになるので、足腰の弱い人は避けた方が無難です。

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実際、この日の祭り終了後も帰りに酔っぱらった客が2人、崖から足を踏み外して森の中へと落ちていました…(幸い大きな怪我はなかった模様)。雨の後は足下がかなり泥濘むので気を付けましょう。
アクセスや駐車所の設定は年ごとに変化する可能性があるので、来年以降の龍勢祭りにお越しの場合は、吉田龍勢保存会のホームページをご確認くださいませ。

今度は青空バックに見てみたい龍勢祭り

この日の関東地方は生憎の空模様。雨が止んでからもずっと曇り空が広がっていたので、龍勢が打ち上がる白い煙と空が同化してしまったのがやや残念。夕方から徐々に青空が見え始めてくれましたが、やはり一度は晴れ渡った秋空に打ち上がる龍勢を見てみたい!

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来年以降も予定が合えば、またこの龍勢祭りに来たいものです。

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そして吉田からの帰り道、暮れゆく空には美しいマジックアワーが広がっていました。あの真っ白な曇り空から、こんな美しい色の空になるとは予想外のご褒美でしょうか。

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さて、会場では嬉しい出会いもありました。以前から、ブログやTwitterでやり取りのあったタケル(id:sfTKL)さんと、龍勢会場にてお会いすることができました。
短い間でしたが、楽しくお話しさせて貰いました(図ったように同じカメラとレンズを持っていたのには笑いました)。

そんなタケルさんの龍勢祭りレポートも、併せてご覧くださいませ。

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