I AM A DOG

途方に暮れる 犬とよばれる でも生きてゆく

雪化粧した晩秋の焼岳に登ってコーヒーを飲んできた

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文化の日の翌日である11月4日の金曜日。奥さんが数日前に突如有休を取って4連休になったというので、その前半を使って岐阜県の平湯温泉に宿を取り焼岳に登ってきました。

3日の午後に平湯に入り、初日の夜は温泉宿でのんびり。最高に美味しい食事と温泉を満喫しながら、翌日に備えます。平湯温泉にはこの日初雪が降ったらしく、焼岳への登山口である「新中の湯登山口」までの安房峠(旧道)がやや心配ですけども…。

2年ぶりの焼岳登山は「新中の湯ルート」から

焼岳は北アルプス南部、飛騨山脈の主稜線とも繋がる標高2,455mの活火山です。登るにはこの新中の湯ルートの他に、上高地や新穂高温泉側からのアプローチもあって、2年前の秋には上高地側からも登っていますが、このルートは10月末に冬期閉鎖となっています。


安房峠の新中の湯登山口には10台ほどの駐車場しかなく、シーズン中や週末にはすぐに埋まってしまうそうですが、この日は平日ということもあって、朝は旅館でしっかり朝食を食べてからの出発です。
平湯温泉から見上げた安房峠。お天気はいいのですが、上の方にはうっすら雪も見えていて道路の凍結が心配です(今回スタッドレスを履いてこなかったので)。

日が昇っても外気温は0℃のまま。車で安房峠を登っていくと、じきに路面は前日までの降雪が凍結して真っ白です。軽くブレーキを踏んでみると、ガリガリという音と共にESCの表示出まくり。ローギアで時速10〜20km/hでノロノロと進んでいきます。

この日の登山よりも緊張した、安房峠のドライブを終えて到着した新中の湯登山口の駐車場。先行の車は6台ほど停まっていました。写真の向こうが我々が走ってきた岐阜側で、路面はずっとこの状態。手前の釜トンネル側はつづら折りのコースですが、東側の斜面ということもあって、路面の凍結はなかったようです(バイクの登山客も来ていますしね)。


駐車場からは、山の向こうに冠雪した穂高連邦が見ました。


新中の湯登山口から登山スタート

早速、準備をして9時に登山開始。標高は1600m程度、登山道にはうっすら雪が積もっています。この時期は歩き始めの体が温まるまでが、なかなかツライ(笑)

新中の湯ルートは焼岳山頂まで3時間と最も手軽なルートですが、相手は北アルプスの活火山。ヘルメットやこの時期は突然の降雪に備えて軽アイゼン程度は装備に加えておくといいでしょう。


比較的急登の少ないコースですが、雪もあるので足場には注意しながら登っていきます。すぐに汗ばんでハードシェルは脱いでしまいます。そしてソフトシェルが欲しくなる!

11月初旬の北アルプス、紅葉は標高1000〜1300m辺りまで下りてきていますが、既に葉の散ってしまった木々は美しい樹氷に姿を変えて目を楽しませてくれました。

1時間半弱で開けた場所に出ます。目指す焼岳の姿も見えてきました。正面のふたこぶが焼岳の双耳峰かな?…と思ってしまうのですが、山頂はもう少し行かないと見えません。


秋から冬へ、緑と白が共存する美しい景色

それにしても緑のクマザサと樹氷という組み合わせは、この時期ならではの不思議な光景です。樹氷は雪山ならお馴染みですが、こんなカラフルな共演はあまり記憶にありません。

登山道に入ってから見えなくなっていた穂高の山も一瞬顔を覗かせてくれました。奥穂高岳はもう完全に雪山の装いですね。来年の夏は、あの吊尾根を歩くのが目標かな。

上高地東側の山(霞沢岳あたりでしょうか?)もかなりの雪化粧。2000m以上の標高では、今シーズン既に何度も降雪があったようです。

それにしても笹原から生える樹氷に見とれてしまいます。実は午後になったら、この樹氷は全て融けてしまってました。午前中に山を歩いた人だけが見ることのできたご褒美。



森林限界を抜けて、噴煙の上がる焼岳山頂へ

森林限界を抜けてしばらく、ようやく暗部の向こうに焼岳の山頂が見えてきました。白い煙は雲でなく焼岳山頂付近から立ち上る噴煙です。


この日は最高のお天気、足下の雪も少しずつ溶けているようです。


緑色の要素だったクマザサも消え、この辺りからは岩がゴロゴロしたガレ場です。これは上高地側の斜面も同じでしたっけ。

正面が焼岳北峰、写真の左側から山頂手前を回り込むように登っていきます。


北峰南峰の間に出たとたん、西側からすごい風が吹き付けてきました。火口湖の正賀池は半分氷が貼っていました。

こちらは立ち入り禁止になっている焼岳南峰です。

風で流れている噴煙をくぐり抜けて、正面右側から山頂を目指します。

それにしてもすごい煙。一瞬視界がなくなるぐらいです。


山頂を回り込み、北側の斜面の向こうに穂高連邦、そして足下に上高地も見えました。以前来たときは向こう側から登ってきましたが、山頂直下は崩れやすいガレ場で、落石させないよう気を付けながら登ったことを覚えています。

この岩場を登り切れば山頂。最後にほんの少しだけ岩をよじ登りますが、あとはほぼ2本の足で登れるルートでした。いたるところから噴煙が上がっていて、いわゆる硫黄臭(硫化水素臭)が立ちこめています。

再びやってきた標高2,444.3m、焼岳北峰の頂上です。日差しは暖かいですが、風が吹いているので体感温度はかなり寒い。3時間弱の手頃なコースですが、本格的な雪山シーズンに入る前のいいタイミングで登ることができました。

奥飛騨方面の集落までよく見えます。新平湯温泉あたりでしょうか?

北峰から見た南峰。あちらの方が10mちょっと高いようです。

山頂は雪が降ってもすぐに強風で飛ばされてしまうようで、土の見える場所もちらほら。そして風の力で面白い形に変化した雪たち。

一方で吹きだまりにはそれなりの雪が積もっています。ただし、この日は用意していた軽アイゼン(チェーンスパイク)を使うことはありませんでした。

まるでチンアナゴみたい。こんな雪上の光景を日常的に見ていたら、フィンランド人がニョロニョロを思いつくのも分かる気がしますよね?

向こうの人たちは風を避けてお昼を楽しむグループ。それでは我々もお昼にしましょう。

焼岳山頂で昼食&山コーヒータイム

さて、この日はテント泊でもないのに、こんなものを持ってきてみました。先日買ったポーレックスそっくりなE-PRANCEのコーヒーミル。ミル上部に豆を詰めてきたので、これだけで4杯分くらいのコーヒーを挽くことができると思います。


昼食は前日に泊まった、平湯温泉「山のよろこび お宿 栄太郎」のおにぎり弁当。平湯温泉のホームページを見て、ずっと食べたかったやつです。
栄太郎については改めて記事にして紹介する予定ですが、とにかく食事が最高に美味しいお宿。本当はカップラーメンも用意していたのですが、お弁当を食べたくてつい頼んでしまいました(「A5飛騨牛ステーキ付きヤマメシ弁当」は残念ながらお休み中)。

気温が寒いのでせっかくのお弁当も冷たくなってしまうのですが、それでもこの栄太郎のお弁当は美味しい! 朝食も宿でしっかり食べてきましたし、お昼もこのお弁当でしっかり食べたお陰なのか、いつもはちょくちょくつまむ行動食にこの日は全く手が出ません。

素晴らしい景色をバックにガリガリとコーヒーを挽いていきます。早くお弁当を食べたいというのに、この作業は結構大変だ… そして手が寒い(笑)

沸かしたお湯を魔法瓶に移して、落としたコーヒーが冷めないようにコッヘルを温めつつ… って色々無駄が多いような気もしますが、これは後々改善していきましょう。

寒空の下で飲む淹れ立てのコーヒーは格別! でも、テント泊ならいいですが、日帰り登山ではもう少しお手軽でもいいかな?なんて(笑)
以前から欲しかった「山専ボトル」、そろそろ買っても良さそうですね。

下山前にもう一度山頂へ

お昼を食べている間に、先ほど穂高方面にかかっていた雲が消えていたのでもう一度山頂へ。そこには素晴らしいパノラマが広がっていました。

今年登った槍ヶ岳の穂先もバッチリ見えます。

上高地の赤い屋根は帝国ホテル。稜線の左手前あたりに見える緑の屋根は、10月末に冬期閉鎖した焼岳小屋です。

もちろんパノラマ写真を撮るのも忘れずに。iPhoneでもパノラマ写真を撮ってTwitterに投稿しましたが、こちらはK-S2で撮ったものをLightroom合成したもの。


お題「見たい!見せたい!パノラマ写真」

結局1時間近く、焼岳山頂でのんびりしている間に、後続の登山者含め山頂付近にいた人たちは殆ど下りていってしまいました。時間はそろそろ13時、我々も下山しましょう。


すっかり雪が溶けてしまった登山道を下山

南峰にかかる太陽も随分と傾いてきました。

心なしか登ってきたときよりも山肌の雪が消えているような…?

この日、デビュー戦だった新しい登山靴。マムートのMagic GTX。インソールも附属のままで使っていますが、前の靴(モンベル アルパインクルーザー)よりもしっくり来ている気がします。少しずつ長い山行に試して行こうと思います。

広場の雪もすっかり消えてしまいました。そして足下はひたすらドロドロのぬかるみ…。おろしたての靴は早速可愛そうなことに…(笑)

下山路はぬかるみに気を付けながら、だいたい2時間弱といったところ。実はうっかりゲイターを忘れてしまったのですが、1/4が着脱式になったズボンを履いていたので助かりました(車に乗る前に裾の部分だけ外せたので)。

そして、まさかの凍結がまったく融けていない安房峠の駐車場付近。帰る頃にはさすがに融けているだとうと思ってましたが、峠道の日陰を舐めていました。この後、再度岐阜方面に降りる予定だったのですが(温泉目当てです)、下山後に車で事故るのも嫌ですし、結局長野側に降りて安房峠道路(安房トンネル)を使うことにしました…。

釜トンネル側から上がってきたライダーも流石に立ち往生。我々が降りるまでに3台ほどのバイクが岐阜側に進むのを諦めて、Uターンしていきました。

11月4日の時点でこのような道路状況だったこともあり、今後は安房峠の走行、新中の湯ルートへのアクセスにはスタッドレスタイヤの装着が必須だと思われます。

この後、再度岐阜側に温泉に入りに行くことで、安房峠道路の通行料はかかってしまいましたが、下りの途中ではこんな景色を楽しめたり、つづら折りのあたりは道路脇の紅葉も見頃で、楽しい下山ドライブとなりました。


K-S2&キャプチャープロでの登山でした

今回の写真は全てPENTAX K-S2とDA16-85mmを使ったもの。防塵防滴のボディ&レンズのおかげで(レンズ簡易防滴ですが経験上イケるだろうと)、雪の上に無造作にカメラを置くようなことも普通に行っておりました。広角がやや欲しいシーンもありましたが、季節的にも望遠側の130mm相当が役に立ちそうな気がしてのカメラセレクトでした。

あとはやはり充電池の持ちが心配なこの季節、電池交換不要で1日安心して使える一眼レフ機はやはり心強いもの。この辺は電池容量がパワーアップしたという「OM-D E-M1 Mark II」のデビューが待ち遠しい所でもあります。

カメラの携行には、最近積極的に試しているPeak Designのキャプチャープロを使用。実は登山中、ザック側のキャプチャープロ本体とカメラ側のプレートの着脱があまりスムーズに滑らず、なかなか一発でハマらない(外れない)ことが多発…。かなりのストレスだったのですが、先ほど試した所、ウソのようにスムーズに着脱できるようになっていました。

キャプチャープロ本体のザックベルトへの取付角度に問題があった可能性もありますが、当日はかなり丁寧に試しても脱着作業に引っかかりを感じました。氷点下近い気温下で、金属パーツに変形などあるのかは分かりませんが、樹脂パーツのb-gripではこれまで起こらなかったこと。現時点では明言を避けますが、この冬もうすこしキャプチャープロを使い込んで検証していきたいものです。

山行ログと歩行ルート



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