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栂池から白馬乗鞍・白馬大池・白馬大雪渓を巡るお盆休みの北アルプス白馬岳山行

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8月14日(火)から15日(水)にかけて北アルプスの白馬岳に行ってきました。栂池から白馬大池〜白馬岳へと向かう縦走路、そして白馬大雪渓を下山路に使う周遊ルートです。

天候の読めないお盆期間、岩稜帯は避けて白馬登山へ

当初、夏休み(妻のお盆休み)は岳沢から前穂高〜吊尾根を経ての奥穂高登山を計画していました。しかし、混み合う土日を避けた平日狙いとなるとこの週はやや天候が怪しく、行動中に雨や雷に遭遇する可能性があったため(実際2日間とも北アルプスエリアは雨に降られた)、岩稜帯の山は避けてかつルート的に余裕のありそうな白馬あたりにしておこうと前日に予定を変更しました。

白馬岳(しろうまだけ)は北アルプス北部、後立山連峰にある標高2,932mの日本百名山にも数えられる人気の山です。夏でも消えることのない「白馬大雪渓」は日本最大の雪渓としても知られ、白馬岳と稜線で並ぶ「杓子岳」「鑓ヶ岳」を合わせた三山は「白馬三山」とも呼ばれています。

猿倉を起点に大雪渓から白馬岳や白馬三山を巡る定番の周回ルートは以前から興味がありましたが、お盆期間はそれなりに混雑しそうと考え(実際にはそうでもなかったです)登山口には栂池自然園を選びました。白馬大池のテント場にも一度泊まってみたかったですし。

初日は栂池高原スキー場のゴンドラを利用し、乗鞍岳(白馬乗鞍岳)を抜けて白馬大池山荘のテント場へ。2日目は小蓮華山、白馬岳と後立山連峰を縦走して大雪渓から猿倉へ下山するコースです。白馬三山に登るのはまた別の機会ということで。

栂池パノラマウェイで標高1,850mの登山口へ

8月14日の深夜、お盆期間とはいえ、平日のためそこそこ道の空いた中央道を安曇野インターから白馬村方面へ。「白馬山麓栂池高原」とは名乗っていますが、栂池高原や白馬大池があるのは白馬村でなく小谷村(おたりむら)なのだそうです。

栂池のゴンドラ乗り口横の駐車場に車を停めます。駐車料金は朝方徴収に来るので500円×2日分を払って、駐車券をダッシュボードの見える所に置いておくシステム。

ゴンドラの始発はこの時期の平日は朝7時(週末はもう少し早い)、6時を過ぎる頃から「栂池高原駅」のチケット売り場周辺にわらわらと集まり始め、7時前にはちょっとした行列になっていましたが、そこまで混雑するという程ではありません。登山客よりも栂池自然園が目的の観光客が多めな印象でしょうか。

ゴンドラリフトとロープウェイを乗り継ぐ「栂池パノラマウェイ」ですが、一方通行の登山の場合は片道乗車券(1,920円)を購入します。jROやモンベルの会員割引もあります。

「栂池高原駅」からゴンドラで20分、「栂の森駅」にて今度はロープウェイに乗り換えます。こちらは5分程度の乗車時間。

5分程で「栂池自然園駅」に到着し、その周辺が「栂池自然園」。栂池ビジターセンターの脇に登山道の白馬大池方面の入口があります。


登山届けの提出や白馬方面の登山道の状況などもここで行えます。

天狗原・白馬乗鞍岳を抜けて白馬大池へ

登山道に入ってしばらくは樹林帯の登り。前日も雨が降ったようなので(かなりの雷もあったそう…)多少ぬかるんだ足下です。

1時間弱で「天狗原」という広い湿原に出ますが、生憎のガスまみれの空……。

目指す白馬乗鞍方面に青空が見えているのを救いに、木道を歩いて行きます。

湿原が終わると大きな岩がゴロゴロと連なる斜面に突入します。

安山岩に刻まれた不思議な穴は自然の力によるものか、はたまた人為的なものなのか……?

天狗原を振り返りながら……

登っていきます。青空が見えてきた!

ロープウェイを降りてまだ2時間程度ですが、登山道上には雪渓もあったりして北アルプスの山を登っていたことを思い出します。

緩やかな斜面を歩いていくと……


標高2,456mの乗鞍岳(白馬乗鞍岳)の山頂に到着。

白馬乗鞍の山頂を越えるとすぐに白馬大池とこの日泊まる白馬大池山荘が見えてきました。

池といってもかなりの大きさで、小さな湖と言っても差し支えないサイズ感(水深が浅いのかな?)。八方池などと比べても余裕で10倍以上の大きさがありそうな立派な池です。

そんな池を回り込むように歩いて行きます。池が大きいので見えてからが結構長い…?

白馬大池の向こうに小蓮華山(あるいはその手前の船越ノ頭)が見えています。何気に後立山連峰の稜線なのですが、結構あっさり来られてしまうのでその実感が湧きませんね。

雲が晴れていれば白馬大池へのリフレクションなどもかなり楽しめそうな場所です。

白馬大池山荘のテント場で過ごす午後、そして雨……

ということで栂池自然園から3時間弱で白馬大池(山荘)に到着しました。時間的にはこのまま白馬岳まで行くことも可能ですが(コースタイムで4時間弱)、今回はのんびり登山が目的ですしガスった稜線を歩いても微妙ですからね……。

白馬大池山荘のテント場はこのような土の地面で、石は使わずにペグで設営するように言われます。幕営料は1泊1人500円と人気のエリアにしては休めの設定。10時半の時点ではまだまだ余裕はあって、稜線方面が開けた場所にテントを張ることができました。

テントサイトのすぐ脇には立派な水場、池の水を組み上げて浄水したものを無料で使うことができ、宿泊以外の人も利用できます。稜線付近でこの環境はありがたいですね。

トイレもキレイな建物が用意されていて、山のテント場としてはかなり過ごしやすい環境になっています。

午後にかけて栂池、白馬岳方面の両方から登山客がやってきてテント場もそこそこ盛況になっていましたが、池の畔の静かなテント場です。

することがないので昼食を食べてビールを飲んだり……

アサギマダラと戯れたり……(私でなく人様の手です)

小蓮華山に向かう坂は「雷鳥坂」と呼ばれて雷鳥の生息地のようなので期待して散歩してみますが、残念ながら雷鳥には会えず…… 徐々に雨がポツポツと降ってきたのでテントに戻ることにしたのですが、その途中でチングルマの群落がありました。こんな一面のチングルマは初めてです!

いつの間に外はかなりの土砂降りになっていました…… しばらくテントで昼寝をした後、明るいうちに夕飯をキメることにします。この季節、テント内での煮炊きは温度と湿度が一気に上がるので何気に厳しい(笑)
雨で虫は入ってこないので、入口を全開にして調理(といってもレトルト)スタート!

噂に聞いていたセブンイレブンの「金のビーフカレー」確かになかなかに美味。

そしてそれ以上に当たりだったのが「金の直火焼ハンバーグ」、これは間違いなくリピート決定です。セブンイレブンは何処にでもあるので登山口に向かう途中で確実に仕入れられるのもありがたいですね。

日没前になんとか雨が止んでくれました! 雲はまだ晴れきっていませんが、日没前後の太陽が雲をピンクや紫に染めています。

先ほどのチングルマ群生地も空と地面の両方がピンクに染まっていました!すごい!


こちらには恐らく糸魚川方面の日本海があると思うのですが……?

立ち上る積乱雲もピンク色!



日が沈むと禍々しい雲が西の空から垂れ下がるように広がっていました。


夜は完全に雲は晴れなかったものの、そこそこに星は見えました。丁度ペルセウス座流星群の時期ということもあって、空を見上げていれば流れ星が降りまくり(テント入口から撮った下の写真にも2個写ってますね)。写真には撮れませんでしたが、夜空を横切るような大きな火球も何度か目撃することができました……。

雷鳥坂を少し登ってテント場と白馬大池方面、やっぱり雲が多いですね。

白馬岳方面に立ち上る天の川。

久々にパナライカの8-18mmを使ったのですが、気が付いたらレンズフィルターが曇っていました。前玉とフィルター間のスペースが広いこともあり(恐らく空気の温度差などの影響が出やすい?)、曇りやすいことを忘れていました。
雨でもすぐに曇ってしまいますし、途中でフィルターを使うのは止めてしまいました。

さて、元々穂高方面を考えていたので荷物を軽量化するため、今回はシュラフの代わりにSOLのエスケープビヴィを持って行ったのですが、夜中に足下に多少冷えを感じたものの普通に寝ることができました。穂高岳山荘で雨に降られていたら、さすがにもう少し冷え込んだかもしれませんが……。
夏山限定ではありますが荷物を軽量化したい際には結構ありですね(慣れないうちはちょっと寒いだけで眠れなかったりするので、テント泊初心者はまずシュラフ使いましょう)

2日目:白馬岳へ向けて稜線歩きスタート

明けて15日、白馬大池では日の出は見られないので、徐々に変化する空を眺めながら2日目の朝がスタートしました。前日の雨と夜露でビショ濡れになったテントを少しでも乾かしてから出発したいので、スタートは少し遅らせることにします。


白馬大池の周辺にはナナカマドが結構あったので、紅葉シーズンはさぞ美しいテント場となることでしょうね。でも、混むのだろうなぁ……。

結構晴れました! 今日は気持ちのいい稜線歩きが楽しめそうですね。

それでは雷鳥坂を登って行きましょう……(やっぱり雷鳥はいない)

坂を登り終えた所で縦走路が見えてきました。左手が船越ノ頭から小蓮華山にかけてで、白馬岳は見えてない向こうかな。鞍部の右側は三国境で別れる別の稜線でしょうか。

白馬大池を振り返って。いいテント場でした。白馬岳側から歩いて行くと、徐々にこの池が近づいて来るので逆回りも楽しそうです。

まだまだテントが多いですね。栂池からゴンドラを使えば、あまり険しくない登山道を3時間ちょっとで来られますし、テント泊デビューにも結構良さそうな場所ですね。

まずは船越ノ頭。

そして縦走路の全容が見えて来ました。正面の白い山は白馬三山の杓子岳かな?

白馬大池方面へ向かう登山客、この時間だと朝イチに白馬岳頂上宿舎を出た人たちかな。

東側の空を見ると雲海がかなり広範囲に出ています。

そして後立山連峰の稜線、壮観です!

後立山の峰々の向こうには槍ヶ岳も見えています。その手前には鹿島槍ヶ岳、五竜岳、唐松岳、そして八方尾根もよく見えています。

たまに雲の中から剱岳も顔を見せてくれます。

足下から雲が立ち上ってくる様子がなんともカッコいい!(同じ場所で写真撮り過ぎ)

この辺りから聴き慣れない蝉の鳴き声が盛んにするなーと思ったらこれでした。クマゼミにしてはちょっと模様が違くて目が赤い…… 後で調べたところ「エゾゼミ」だそう。北海道だけでなく本州の高地にもいるのだとか。それにしても北アルプス2700mの稜線にこんなに蝉がいるなんてちょっと驚き。

鉄剣が祀られている「小蓮華山」(2,766m)に到着しました。そして正面中央に見えきたのが白馬岳、あとコースタイムで1時間半位です。

こちらが山頂標識。

振り返ると西側の斜面はまた違った趣がありますね。日本海(富山湾)や能登半島もよく見えています。天気がいいと佐渡島まで見えるのだとか。

それにしても気持ちのいい稜線です。晴れてくれて良かった!

ここの鞍部が「三国境」。長野県、富山県、新潟県の県境になっていて、長野側は白馬村と小谷村で分け合っています。

足下の池は「長池」? その向こう、日本海に注いでるのは黒部川でしょうか?(後で糸魚川市・姫川と聞いたのですが、地図を見る限りやっぱり黒部川だよなぁ……)

このミニピークを越えれば白馬岳まではあとひと息。

お花畑の向こうに剱岳と立山。


そして白馬岳の山頂へ…… 稜線を挟んで長野側(左手)と富山側(右手)でかなり山の形が違うことが分かると思います。


白馬岳山頂から白馬山荘へ

10時半前に白馬岳の頂上に到着しました。

山頂から白馬三山、そして後立山の稜線を見ています。長野側はの斜面はかなり切り立っていて、想像していたよりも険しい光景が見られます。

振り返るとこの日歩いて来た小蓮華山方面の稜線。

足下に見えるのは「白馬山荘」。山頂から10分ほど下りた場所にある、定員800人を誇る日本最大の山小屋…… いや、これはもう「小屋」の規模ではありませんね(笑) 白馬山荘ホームページの言葉を借りるならば「山岳宿舎」、なるほど。

せっかくなので「山頂レストラン スカイプラザ白馬」で昼食を食べていくことにしましょう。軽食を食べられる山小屋は多いですが、それだけが別棟になってるのは初めて。


中に入ってもビックリ!! こんな広い山小屋のレストランは初めて見ました。まるでどこかのスキー場の大型レストランに来てしまったかのようです。

思わず「もう下山したんだっけ?」と勘違いしてしまうレベル(笑)

生ビールも飲めてしっかり美味しい。サッポロビールなのも嬉しいですね!

軽食メニューは定番のカレーにラーメン、牛丼など(ケーキも充実してたような)。前夜にカレーを食べてるのでラーメンを注文しましたが、家系ラーメンを彷彿とさせる豚骨醤油のスープに太麺、山小屋ラーメンとしてはかなりレベルが高いです!

6月からこの白馬山荘で働いてるうたさん(今年、偶然にも谷川岳と原宿で会ってる)にもご挨拶できました。秋には壮大な縦走計画も立てているらしく、それまでは山荘のお仕事に励むとのこと。応援しています! うたさんは写真めちゃ上手な若者なので(そしてペンタックス使い)Twitterにアップされる美しい白馬の写真もぜひチェックしてみてください。

せっかくなので、新たな白馬名物として売り出し中の「しろうま大雪渓かき氷」も食べていきましょう。販売が12時からなので、ついそれまで長居してしまいました(笑)

フルーツに練乳たっぷりのしろくまタイプのかき氷。分かりますか? “しろうま”と“しろくま”を掛けたアレです。ちなみにかなり巨大なかき氷なので、複数人ならまず一皿注文して様子見がオススメです。ソロの人は頑張りましょう!(美味しいので大丈夫、行ける!)

ラーメンの塩分と炭水化物、そして大量の練乳とフルーツで糖分の補給はバッチリです、本当に下山するまで行動食が必要なかったですし(笑)

白馬大雪渓、そして雨の中を猿倉へ下山

スカイプラザ白馬でのんびりしている間に、さっきまで見えていた杓子岳方面はすっかりガスにまみれてしまいました。あとはもう下山するだけ、気を付けていきましょう。

白馬岳頂上宿舎、今度はこちらのテント場にもお邪魔したいですね。

お花畑すごーい。晴れてたら最高でしょうね…… なんて言ってると雨がポツポツと……

1時間ほど下っていくと見えてくるのが「白馬大雪渓」。こうして見るとスケール感が分かりにくいですが、実際に歩くとかなり巨大な雪渓です。

雪渓の端はブリッジが大きく崩れています。落石も多いので近づかない方がいいでしょう。

キベリタテハ。

この辺から大雪渓に入ります。それにしてもかなりデカい岩が転がっていて驚きます。実際、大雪渓に入ってからも「ガラガラガラ」と大きな落石の音が聞こえて一瞬ヒヤッとしました(岩は雪渓に入ってすぐに止まった様子)。

夏場の雪渓歩きといったらやはりチェーンスパイクが安心。つま先からかかとまで爪があるので、多少雑な歩き方をしても(よくないですが)しっかりグリップしてくれます。装着も楽ですし4本・6本爪の軽アイゼンより使いやすいと思うのだけどなぁ……(比較した訳じゃないので確かなことは言えませんけど)。


それではいざ大雪渓へ。

途中からガスの中に消えて行く人たち……

石だけでなく、木まで転がっています。こんなのが滑ってきたら避けられるかなぁ……?

霧の中を下っていきます。下山を初めて何度か雨が降ったり止んだりしていたのですが、この辺りから徐々に本格的な雨になってきました。

雪渓を出る事にはソフトシェルで防ぎきれない雨になっていたのでレインウェアに着替えます。今回、ザックカバーのないUL系のザックを使っていた奥さん…… 荷物がビショ濡れですね。

雪渓の終点に近いあたり、沢と雪溶け水が混ざって大きな川になっています。

白馬尻小屋に到着。この頃には完全に土砂降りになっていまい、レインウェアの下を履いたりカメラも1台片付けてしまいました。

久々に行動中にがっつりと雨に降られてしまいました……。

白馬尻小屋から下っていくとすぐに雨雲を抜けてしまい、じきに登山道は林道に。

歩きやすい林道をサクサクと下って行くと下山口の猿倉荘が見えてきました。

こちらが猿倉のバス停。バスまでは30分以上ありましたが、タクシーの運転手と交渉した結果、悪くない条件で栂池まで行けることとなったので、バスを待たずに猿倉を後にすることとなりました。

今回、初めての白馬エリアでしたが栂池から猿倉まで登山道は歩きやすかったですし、稜線の景色も素晴らしく白馬が多くの人に愛される理由もよく分かりました。
2日とも雨には降られてしまいましたが(エリアによっては落雷もあったようで、穂高に行かなかったのは正解でした)、青空も星も楽しむことができましたし満足度の高い山行となりました。

ちなみにザックは今回もパーゴワークスの「BUDDY 33」を使いました。やはり1泊程度のテント泊には丁度いいですし、軽い雨程度ならば十分に雨を防いでくれました(流石に途中からはザックカバーを使いましたが)。


下山後の溫泉や食事については別の記事にて。

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