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スマートウォッチ「CASIO PRO TREK Smart WSD-F20」を1年ちょい登山で使った評価まとめ、そして新型WSD-F30への期待

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先週のこと、欧州の家電展示会「IFA2018」にてカシオからアウトドア用スマートウォッチ「PRO TREK Smart」の新型モデル「WSD-F30」が発表となりました。発売は来年2019年の1月になるようです(サブブログの方で情報をまとめています)。

さて、当ブログでは昨年4月より現行モデルである「PRO TREK Smart WSD-F20」をモニター使用しており、これまで数度のレビュー記事にて紹介してきました。

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当初はアプリ周りでいくつかの問題点も見られましたが、現在はそれらもほぼ解消され、日々の登山では欠かせないアイテムとなっています。また、普段使いのスマートウォッチとしてもApple Watchより装着する機会が多いものとなっています。

本記事ではそんなWSD-F20を1年間以上使ってきた上での評価を、これまでの記事なども振り返りつつまとめてみました。現在、WSD-F20の購入を検討してる方、またWSD-F30の発売を楽しみにしている方にとって少しでも有益な情報となれば幸いです。

登山で使うアプリに関する評価

スマートフォン同様にアプリをダウンロードして機能追加できるのがスマートウォッチの特徴の1つ。もちろんアウトドアに特化したリストデバイスとして、メーカー純正アプリも各種プリインストールされていますが、登山(ハイキング/トレッキング)においてWSD-F20をフル活用するためにはサードパーティ製のアプリを活用する必要があります。

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その代表格が登山地図アプリの「YAMAP」。サードパーティ製といってもPRO TREK Smart専用に開発されたAndroidWareアプリ(他のAndroidWareウォッチでは仕様不可)なので相性に問題はありません。

WSD-F20+YAMAPはとても安定、登山に欠かせないアプリに

WSD-F20の発売当初は地図のダウンロードやGPSの記録に問題が多かった「YAMAP」ですが、バージョンアップを重ね現在は安定して使えるようになりました。

登山の行動中に手元で現在位置が確認できる便利さは紙の地図やスマホの地図アプリとも全く異なる感覚で、「時間を見る感覚で手軽に地図が見られる」快適さは多くの登山者に一度でも体験して貰いたいもの。スマホや地図を取り出すこともないので両手は自由なままですし、岩稜帯などでも安全に現在位置を確認することができます。

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もちろんスマートウォッチの限られた画面サイズでは山域やルート全体の一覧性がないので、計画時、休憩中には紙地図やスマホ地図を併用することで、より行動中のルート・位置確認が確実になります。

実際、私が登山でWSD-F20を使う理由はこのYAMAPが8割以上で、他はオマケみたいなものと行っても過言ではありません。そんなYAMAPに関しては以下の記事で詳しく紹介しています(まだ不安定な時期のレポートですが、現在はより安定して使えます)。

純正アプリ「ロケーションメモリー/アクティビティ」の出番はあまりないかも……?

一方でプリインストールされているメーカーの純正アプリ「ロケーションメモリー」(内蔵地図はMapboxを利用)や、アクティビティ毎のログ記録を行うアプリ「アクティビティ」を使用することは滅多にありませんでした。

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サイクリング、パドルスポーツに関しては私がやらないのでなんとも言えませんが、トレッキングは「YAMAP」の方が使えますし(マーキング機能をYAMAPに付けて欲しいかも……)、フィッシングは正直微妙でした(フィールド情報はTOOLで個別に確認した方が自分は使いやすい)。
スノーに関しては滑走状況や速度を確認できるのがかなり面白かったですが、(アクティビティアプリ全般に言えることですが)記録を終了するとGPS以外のログが消えてしまう仕様は微妙に感じました。
どれもそこまで本格的に使うことを想定していないアプリのように感じます。


「ツール」アプリはかなり使用頻度が高い

山に入った際にYAMAPに次いで使用頻度が高いのが、コンパスや気圧計、高度計を切り替えて表示時させる純正の「ツール」アプリ。私はデフォルトで設定されたTOOLボタンのまま使い続けていますが、高度の確認から(YAMAP記録中はYAMAP側で見た方が正確です)、気圧の変化を見たり、もちろんコンパスも見ますし、コンパス表示と日の出日の入りの時刻&方角が表示されるこの画面の便利さは、一度使うと手放せなくなります。

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山の中では電波状況によってスマートフォンで調べることができないことも多いですし、テント場のオイシイ場所選びや、夕日・ご来光のポイント探しには欠かせない機能です。

バッテリー(電池持ち)に関する評価

電池持ちについては決して良いとは言えないWSD-F20。GPS記録をしない通常のスマートウォッチとしての使用で2日程度なので、スーマートフォンと同程度の頻度で充電を行う必要があります。

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スマートウォッチ機能を停止させた時計表示だけのモード(タイムピース)だと1ヶ月近く充電が必要ないようですが、本体サイズの大きなスマートウォッチを時計としてのみ使うのことは私の場合はありません(にうっかり電池切れしてたら持ち出すことを諦めます)。

登山中は機内モードが無難

GPS記録時の電池消費だけは仕方がないので、特に登山中にYAMAP等で行動ログを取っている際は「機内モード」本体をにしておくのが無難です。携帯電波の入りが良い山域だとスマホ経由でTwitterやメール等の通知を手元で見られるのが便利で、つい機内モードにせずに使ってしまうのですが、山小屋などGPSが入らない場所でYAMAPの記録を停止しないまま休憩していたりすると、その間に一気にバッテリーを消費してしまうケースもありました(この場合は機内モードよりも、YAMAPの一時停止の方が重要……)。

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機内モードといってもGPSや高度計、気圧計、コンパス等の各種センサーは問題なく使えるので、山に入るときは機内モード基本が無難。不用意なバッテリー切れは安全にも左右することなので、忘れず心掛けたいものです。

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これまでの使用では機内モードでのYAMAP使用で行動時間10時間位までは特に問題ないようです。それ以上の行動時間になる場合、長時間の休憩では一時停止にしたり、電池の消費具合などは途中で確認してもいいかもしれません。

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ちなみに昨シーズンは雪山でも毎回仕様してきましたが、-10℃までの耐低温仕様通り動作が不安定になることは一度もありませんでした。動作時間が短くなってしまうような症状も特に確認できませんでしたが、氷点下環境では充電が上手く行かないことが多く、テント泊の際はシュラフの中などで温めながら充電を行なうことで事なきを得ました。

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充電周りは難あり、近日発売の充電ホルダーが必須か!?

WSD-F20で最も残念な所を挙げるとしたらやはりWSD-F10から引き継がれた充電端子&充電ケーブル。磁石で着脱する充電端子はかつてのAppleマグセーフのような使い勝手の良さを期待しがちですが、WSDシリーズの充電端子はケーブル形状のせいもありわずかな力で簡単に外れてしまいます。特にテントのような狭い空間での充電は大いに苦手で軽いショックで簡単に外れてしまいます。

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近日、この充電問題を解消する充電ホルダー(クリップ式のパーツで充電ケーブルを安定させるアダプター)がアクセサリとして発売されるようですが、既存モデルを購入したユーザーには無償配布してもいいのでは?と感じるレベルです。

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via: カシオ、有機EL搭載Wear OSスマートウォッチ「PRO TREK Smart」。地図付きで3日間動作 - AV Watch

最新のWSD-F30でも充電周りが変更されていないことは大変残念です(当該アダプターの同梱情報はなし)。10人中9人は確実にストレスを感じる仕様だと思いますし……。

何かの理由で端子形状を変えられないのなら、アクセサリを買わないと安心して使えない充電ケーブルでなく、せめてクリップ式やクレードル式の充電ケーブル(充電器)を開発して欲しかったものです。

普段使いにはやや大きい……けれど意外に便利

1.32インチサイズの液晶を搭載し、アウトドアでの剛性を高めたスマートウォッチということもあり、腕に付けた際のサイズはかなりゴツい。男の私がそう感じるのだから、女性となると普段使いには躊躇してしまうサイズでしょう(ハードシェル等の上から付ける分にはまだいいのですが……)。

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私自身は普段使いの時計としても使っているのですが、やはりデスクワークでは邪魔に感じて客先での作業中は外していることも多いです。

ただ、スマートウォッチを普段使いすることで、iPhoneからの各種通知を見ることができたり、Twitterのリプライ程度なら手元で確認することができて何かと便利。本来、iPhoneとの相性が良いはずのApple Watch(2)もあるのですが、どうも自分とは相性が良くないのか、AndroidWareのWSD-F20ばかりを持ち出してしまいます。

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視認性がいいので時計を始め、各種情報が一目で分かるところも便利な他、歩数計が表示されるウォッチフェイスにしていることもあり、最近は単体の活動量計(MISFIT SHINE2)を使うこともなくなってしまいました。

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後は、スポーツウォッチ系ではすっかりお馴染みになってきた心拍計の搭載を期待する声も大きいようですが、これはWSD-F30でも見送られたようです。この辺はライバル製品であるSUUNTOはアウトドアモデルのTraverseには心拍計を内蔵しないものの、別売りの心拍計ベルトと連携させることで対応しています。WSDシリーズもオプションで心拍計があってもいいのかな?(私は使わない気がするけど)

PRO TREK Smartはどんな人向けのアイテム?

個人的な感想ではありますが、やはりこのWSDシリーズは登山(ハイキング/トレッキング)に特価したスマートウォッチだと感じています。登山以外のアクティビティにも対応しているものの、心拍計内蔵のスポーツアウォッチや専用機器より優れているかは少々怪しい所かもしれません。
登山に関しても標準アプリのみでは同様の感想になってしまいますが、YAMAPを使っての位置確認、ルートトレース、ログ取得に関しては代替するものがないレベルの道具だと言えるでしょう(そもそも地図を内蔵したスマートウォッチの選択肢は殆どないので)。

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この一点のみでの登山をする人には全力でオススメできますし、逆に登山をしない人にこのスマートウォッチがどこまで魅力的なものかは正直分かりかねます。

WSD-F20とWSD-F30、これから買うならどちら?

さて、先日発表になったばかりの最新アイテムであるWSD-F30ですが、最も大きなトピックはサイズの小型化と軽量化。WSD-F20や既存のスマートウォッチはゴツ過ぎ…… と感じてた人には非常に魅力的でしょう。

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WSD-F30から新たに搭載される「エクステンドモード」での駆動時間アップも大きくアピールされていますが、これがYAMAP使用時にも適応されないと、登山に特化して見た場合はさほど大きな魅力には感じません。
もちろん搭載バッテリーの強化、低電力化がされているならば違うのだと思いますが、現在発表されているスペックからは読み取ることができませんでした。

CPU等の情報も公開されていませんが、OSやアプリの動作速度などがどの程度変化しているのか、実機を触る機会があればぜひWSD-F20と比較してみたい所です。

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現在WSD-F20はネット最安値で4万円台の前半まで価格が下がっているので、WSD-F30(税抜61,000円)の発売からしばらくは1.5〜2万円弱の価格差が付きそうです。WSD-F30の実力がまだ未知数なので言い切ることはできませんが、少しでも小さくコンパクトな方がいいならばWSD-F30を待つべきですし、さほど大きさには拘らないのならば、価格もこなれて今すぐ使い始めることができるWSD-F20もまだまだ十分に魅力的な製品でしょう。

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