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途方に暮れる 犬とよばれる でも生きてゆく

八ヶ岳・赤岳鉱泉アイスキャンディにてアイスクライミングに初挑戦した年末

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昨年の仕事納めが無事終わった翌日の12月29日、2018年最後の山行(?)は、以前から興味があった八ヶ岳・赤岳鉱泉のアイスキャンディに行って来ました。

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この日、のぼるひとのディーアイ (id:di82) 氏からお誘いを受けてアイスクライミング初挑戦をしてきたのです。今回はそんなレポートになります。

アイスクライミングの人工ゲレンデ、赤岳鉱泉アイスキャンディ

「アイスクライミング」は名前の通り氷(アイス)の壁を登る(クライミング)スポーツ。足に付けたアイゼン、両手に持った鎌のようなアイスアックスを垂直な氷の壁に突き立てて登る様子をテレビや写真で見たことがある人もいるのではないでしょうか。

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冬山登山のジャンルのひとつであり、一方でクライミングのジャンルにも分類されるので、普通にトレッキングの延長で登山を楽しんでいる私にはやや縁遠いジャンルのアクティビティになります。

主に山の中にある天然の氷瀑(凍った滝)を登るアイスクライミングは使用する道具から技術まで色々とハードルが高いのですが(お金も掛かるし相応の技術も必要)、そんなアイスクライミングを安全に体験・練習するためのアイスゲレンデ(人工に作られた氷瀑)が各地にあり、今回利用した赤岳鉱泉の「アイスキャンディ」もそんな人工ゲレンデです。

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以前からこの赤岳鉱泉のアイスキャンディ体験には興味があったのですが、いくら人工ゲレンデといっても初心者がホイホイといきなり行ってレンタル道具で登らせてくれる施設では当然なく、経験者の指導やガイドを付けて利用することが前提となっているようです(ロープやハーネス等、最低限利用者が用意するギア類もあります)。

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この辺りからも、最低限のハードルを設ける必要のあるアクティビティであることが分かりますね。

実際のアイスキャンディ利用や今回のクライミングに際しての準備、事前に覚えたこと、当日教わったことなどは、現時点の私が安易にレポートして誤解を招いてもよろしくないので、本記事はあくまで私のアイスクライミング体験部分のレポートに留めます。

詳細は赤岳鉱泉のホームページ及び、実際に自分で情報を集めて頂き、経験者やガイドなど適切な指導の下挑戦するようにしてください。

赤岳山荘から赤岳鉱泉へ

当日は八ヶ岳登山でお馴染み美濃戸の赤岳山荘からスタート。年末の美濃戸林道にはまだ雪もなく、日の出前の時間帯も多少の凍結のみで四駆スタッドレスのXVならば安心してアクセスすることができました(完全にXモード任せ)。

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赤岳山荘の駐車場(1000円/1日)で荷物の準備をしたら、赤岳鉱泉まで2時間程の林道&登山道歩き。さほどキツくない登山道ですが、既に雪道歩きになるので最低限の雪山装備は必要です(凍結箇所も多いので、帰り道はチェーンスパイクを履きました)。

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数ヶ月ぶりに歩く八ヶ岳北沢ルートですがもうすっかり冬景色。歩き初めてすぐの沢が既に凍り付いていました。

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氷点下10度を下回ることが当たり前の環境では、水が流れたまま周囲に飛んだ飛沫から凍っていくようですね。

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朝方に車で通った美濃戸林道を初め、今年は台風により登山道の橋が流されるなど、かなり大変だったようです。改修、整備に当たって下さった関係者の方々に感謝します。

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今回はピークに登らない山ですし、装備も普段の登山に比べると幾分シンプルで足取りも軽いです ……といっても本格的なアイスクライミングになると登山要素も加わるので、ギア類と合わせて相当大変になるようですけども。

前を行くのは今回何から何までお世話になったディーアイ氏です。昨年の御嶽山登山の際にお会いしたのを切っ掛けに、色々と山のことを教えて貰っているナイスガイ。

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現地に着いたら写真どころではなくなってしまいそうなので、のんびり写真を撮りながら歩いて行きます。

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ちなみにこの日は寒波の襲来もありこの冬一番の寒さ、夜明け前の美濃戸口の時点で車の温度計はマイナス10度を表示していました。歩いている分には体も温まっていますが、少しでも体を止めると猛烈な寒さが襲ってきます……

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8時間過ぎに赤岳鉱泉に到着、この氷の塊がアイスキャンディです。金属の足場にネットを貼った所に水を拭きかけて、氷瀑を作っていくようです。まだ今シーズンのオープン当初ということもあり、こちら側の面はまだ水を拭きかけて氷を作っている最中でした。

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この日のお天気は一応晴れ予報が出ていましたが、結局ほぼ一日中こんな感じの曇天模様でした。赤岳鉱泉の標高は2220m、樹林帯にあるので風はそこまで強く吹き付ける場所ではありませんがめちゃくちゃ寒いです……

いよいよアイスクライミング体験スタート

赤岳鉱泉にて受付を済ませ、近場でロープやビレイデバイスの扱いなどひととおりの練習をした後、いよいよアイスキャンディに入ってアイスクライミング初挑戦。アイスアックス(アイスクライミング専用のピッケル)を氷に振り下ろしてみると、想像していた以上に氷が硬い! 10時時点で気温はマイナス14度…… 思ったよりも氷の壁は手強そうです。

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ということで既に登っている私ですが、このような角度のついた壁でも思ってたよりも簡単に登れません。アックスもアイゼンももっとサクサクと氷に刺さると思っていましたが、氷は硬く刃や爪を勢いよく突き立てたつもりでも氷が砕けるばかり。上手い具合に手掛かり足掛かりとなりません。想像と実際に体験するのでは大違いです。

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アイゼンも最初は履き慣れた自分の縦走用のもので始めましたが、やはり前爪の形状のせいか上手く氷に蹴り込むことができず、午後からはアイスクライミング用の縦爪が付いたアイゼンに履き替えました。

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少し慣れてきたところで、もっと垂直気味な壁も登ってみたくなり挑戦したのですが、見事に途中で敗退……。なんと、壁の途中にアックスを残したままにしてしまいました。

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再度自力で取りに行こうかと試みましたが、既に腕がパンパンで登れず…… ディーアイ氏に回収していただきました。なんともお恥ずかしい。

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お昼は赤岳鉱泉にてカレー。すっかり冷え切った体に暖かいお茶とカレーが染み渡ります。

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そうそう、今更ですが赤岳鉱泉は通年営業の山小屋です。軽食に様々なカレーメニューがあったり、夕飯にステーキが出ることでもお馴染み。

それにしてもめちゃくちゃ寒い……

ちなみに私、アイスクライミングの防寒を少々ナメていて、普通のトレッキング+αぐらいの準備で平気かと思っていましたが、初っ端から寒くて寒くて念のために持ってきていたダウンパンツをシェルの下に履いてしまったほど。
クライミングをしてない時やビレイ中に羽織るビレイパーカも薄手のダウンを持ってきてしまいましたが、もっと厚手のを持ってくれば良かったと後悔……。

午後は一瞬晴れ間なども覗きましたが、私は結局この辺の壁しか登れず。右側の少し急な壁にも挑戦しましたが、最後まで登ることはできませんでした。うーん、悔しい。

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ディーアイ氏や周囲の経験者の方は上手いこと登っていくんですよね……。

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トップロープクライミングは上まで登ったら下で確保してくれているビレイヤーの人に降ろして貰うのですが、この全てを預けた無防備状態がなんだか面白かったです。

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交代でビレイにも挑戦させて貰いましたが、責任重大なので緊張します。登ること以上にこのビレイも重要な技術だと感じました。

ビレイ中の私をアイスキャンディの上から見るとこんな感じ。同行者に撮って貰ってますが、今回自分のことに精一杯でアイスクライミング中の写真は殆ど撮っておりません(笑)

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のぼれなかったけどいい経験になりました

よく「クライミングは力でなく体重移動で登るもの」なんて聞きますけど、実際に氷の壁に取り付いてみると、真っ先にアックスを振る手の力がなくなり(腕よりも握力がバカになってしまう)、後はもう足を掛けて体を持ち上げるのが精一杯。というか後半、アックスはもう氷の隙間に引っかけるだけで、足だけでよじ登った感じ……。

確実に体の使い方が悪いとは思うのですが、基本的な腕の力がそもそも足りてないのでは?とも感じましたし、想像以上に登れなかったアイスクライミング初体験でした。しかしながらとてもいい経験になりましたし、数日経って改めて次回への闘志も湧いてきました(?)。貴重な経験をさせてくれたディーアイ氏に感謝します。

* *

そろそろ帰ろうかという頃になって、ずっと隠れていた大同心稜や横岳が顔を見せてくれました。それにしてもこの日の稜線は爆風でとても登山どころではなかったことでしょう。

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冬の八ヶ岳といえば彩雲ですね。

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駐車場へ戻る頃はすでに夕暮れでした……。

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すっかり体も冷え切ってしまい、いつの間に顔馴染みになった美濃戸口のyatsugatake J&Nにてお風呂に入ってそのまま夕飯を食べて行くことになりました。
結局いつもこのステーキプレートばかり食べている気がします(うまい)。

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それにしても体や足は普段の登山に比べて特別疲れている訳ではないのですが、とにかく手の力(握力)が完全にダメになってしまい、ザックのバックルを外したり、なんなら車のシフトレバーのボタンを押すにも苦労する程……(本当です)。

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同じ登山のジャンルでもここまで使う筋肉が違うのか…… と驚きますし、なんかこうガムシャラでなくフォーム等ロジカルに改善することでもう少し上手くなったりしないものですかね? そう甘くもないか。機会があればまた挑戦してみたいものですし、次回はもっと防寒に力を入れなくては!(笑)

おまけ:ハードシェルパンツをリペア

慣れないアイスクライミングの動作でアイゼンを引っかけてしまい(午後は面倒臭がってゲイターをしてなかった……)ハードシェルパンツにかぎ裂きを作ってしまいました。年末にメーカーのfinetrackに連絡した所、早速リペアキットを送って貰い自宅でリペア完了……。

冬山シーズン中ということもあり、なかなか預かりでのメーカー修理に出すタイミングも難しいですし、このような対応は大変有り難いですね。
リペアキットの申し込み等はこちらからご確認ください。
修理 | 国産アウトドアブランドのファイントラック

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