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混雑とは無縁で登れる富士山もある!? 不人気? キツい? 御殿場ルートで登る富士登山の良さと注意点など


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一部の富士登山が抱えるオーバーツーリズム問題。個人的は時間帯による入山規制や、ある程度の入域料(入山料)の強制徴収も必要な時期なのでは…… と考えますが、山小屋、観光業、自治体…… それぞれに見方も利害も異なるでしょうし、なかなかすぐには解決しない問題かもしれません。
(ただし、必ずしも富士山の混雑状況は昔に比べて悪化している訳でもないようです

私自信、富士登山の経験はこれまで2回のみなのですが、そんな我が家の富士登山は混雑や渋滞とは無縁。日帰りの弾丸登山でもなければ、山頂ご来光も目指すこともなく、朝は山小屋の前でご来光を眺めてから、このような殆ど人の姿のない登山道で山頂を目指しました。もちろん夏山シーズン中です。

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富士山七合目あたりを歩く妻

歩き始めからしばらくが単調で退屈なことを除けば、よく言われる富士登山へのネガティブなイメージもありませんし(「渋滞酷すぎ」「富士山は1回登れば十分」等)、タイミングが合うならば何度でも登りたいと思っている位です。そんな私が今回紹介するので御殿場ルートの富士登山です。




富士登山ルートの中で最も空いている御殿場ルート

富士山を五合目から登る一般的な登山道は山梨県側に2ルートと静岡県側に2ルートあって、山梨県側から富士山頂を中心とした時計回りに「吉田ルート」「須走ルート」「御殿場ルート」「富士宮ルート」と名前が付けられています。一合目や海抜ゼロメートルから登りたい人は、自分で調べてください。

via: 登山口と登山ルート|登山の前に必ず知っておくこと|富士登山オフィシャルサイト
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富士山に登る登山客の大半(半数以上)が利用するのが山梨県側の吉田ルートです。登山口がある富士スバルライン五合目の標高は2305m、そこから登り6時間、下り4時間をかけて(コースタイムはあくまで目安)富士登山を行います。
静岡県側の富士宮ルートは登山口が標高2380mと最も高く、吉田ルートの次に人気のルートです。須走ルートは登山口が1970mと少し低いこともあって、さらに人気は下がりますが、八合目から山頂までは吉田ルートと合流して歩くことになるので、混雑と無縁とは言えません。
環境省_富士箱根伊豆国立公園_富士山登山者数調査結果

そんな中、私が富士山や宝永山(富士山を構成する火山の1つ。富士山中腹にある巨大な火口が目印。日帰りで登るのに丁度いい山です)に登る際に毎回利用しているのが「御殿場ルート」です。

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五合目の標高が1440mと4ルートの中で最も低いところからのスタートになるので、結果的に登る距離(標高差)が長くなり、富士登山ルートの中では一番不人気…… つまり登山者の少ないルートとなっています。ちなみに私が初めて御殿場ルートで富士山に登った日はこんな状態でした。

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五合目〜六合目付近を歩く私(妻撮影)

2017年の夏シーズン、吉田ルートの登山者数が172657人だったのに対して、御殿場ルートの登山者はなんと1桁少ない18411人だそうです(富士宮ルート70319人/須走ルート23475人)。

この数字だけを見ても御殿場ルートが混雑と無縁のルートだと想像できるかと思いますが、もちろん空いているからと良いことばかりでなく、人によってはオススメできない要素も色々とあるので、今回はその辺も併せてご紹介します。

富士登山オフィシャルサイトより。
「<御殿場ルート>
 混雑日でも人が集中・混雑することはほとんどありません。」
←!!!!!

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via: 混雑を避けて、安全・快適な富士山へ|お知らせ|富士登山オフィシャルサイト

御殿場ルートのここが最高!

登山道が空いてる

とにかくこれに限ります。私が富士山に登るのが毎回9月の閉山直前ということもありますが、とにかく御殿場ルートは空いてます。ペースの異なる登山者の追い抜き/抜かれがたまにある程度で、タイミングによっては、視界の中に自分たち以外の登山客が居ないこともよくありました。

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さすがに7〜8月のベストシーズンはもう少し登山客がいるとは思いますが、マイペースで夏山シーズンの富士山に登りたいなら御殿場ルートが一番でしょう。

高山病になりにくい?

吉田ルートや富士宮ルートが2300m台とかなり高い標高からスタートすることもあり、人によってはいきなり歩き始めると高山病の症状が出てしまうこともあるようです。一般的に登山口のある五合目に到着してから1時間程度は高度に体を慣らした方が良いと言われていますが、御殿場ルートの五合目は1440m(上高地よりも低い標高です)。なんとスタートから2時間以上も登山道を歩いて、ようやく吉田ルートの登山口と同じ標高に辿り着くのです……。

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御殿場口の駐車場から見上げた富士山。これを全部登ります……

これなら高度に体を慣らすまでもなく、駐車場に車を停めて、準備が完了したら出発OK。どこまでもマイペースで始められるのが御殿場ルートです。

御殿場ルート山頂から剣ヶ峯がすぐ

吉田・須走ルートから登った場合、山頂の鳥居(3710m)をくぐってから、最高地点である標高3776mの剣ヶ峯まで火口の周りを半周(約45分)歩く必要があります。一方、御殿場ルート(と富士宮ルート)から登った場合、剣ヶ峯は山頂鳥居から目と鼻の先です(15分くらい)。

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あとはこの「馬の背」と呼ばれる最後の坂道さえ登れば、そこはもう日本最高峰地点。

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宝永山がカッコいい!

宝永山は富士山を構成する火山の1つ(側火山)。富士山の東側に大きく口を開けた宝永第1火口は、新幹線から見える富士山右肩の大きな穴としてもお馴染みでしょう(?)。そんな宝永山の山頂は標高2693m地点にあって、御殿場ルートの6合目からは30分程で寄り道することができます。

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宝永山山頂(2693m)から眺めた宝永火口と富士山

私はこの宝永山に御殿場ルートの下りに寄り道したり、御殿場口から御殿庭などを経由して、宝永山の3つの火口(第1火口意外にも2つの火口があります)を巡るルートを歩いたこともありますが、巨大な宝永火口越しに眺める富士山はちょっと他では見ることができないダイナミックな光景です。

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下りの大砂走りがめちゃくちゃ楽しい

御殿場ルートのお楽しみといえば下山ルートの大砂走り。名前の通りフカフカな砂礫の斜面を一気に駆け下りることができる下山専用のルートで、宝永山のある標高2700m辺りから(砂走自体は3000m弱から)1900mまでを30分程度で一気に駆け下りることができます。

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山の下山で走るなんてトレランでもなければ(しかも普通の重量のザックを背負っていたら)危険で仕方ありませんが、大砂走りは足を取られないフカフカの砂で、しかも道幅の広い下山専用ルート。

なんならこのために、宝永山に登るのもアリです!? 富士登山駅伝の当日に宝永山に登った際には、大砂走りをダッシュで駆け下りて派手に転びながらタスキを繋ぐ選手たちの姿を見ることができました。

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  • 富士登山駅伝は富士山の麓と山頂を往復する駅伝大会。自衛隊チームがチート過ぎて、第30回から自衛隊の部と一般の部が分けられたエピソードを持つ

ちなみに大砂走りでは普通の装備では靴の中に大量の砂が入ってしまうので、ゲイター(スパッツ。できればロング)が必須。あとは砂埃も激しいので、マスクやバフ等のネックゲイターがあるといいでしょう。もちろん走らずにマイペースで歩いて下りたっていいのですけども。

追記:大砂走りを登らないこと!

御殿場ルートは登りの登山道と下山道(大砂走り)、物資運搬用のブルドーザー道が交差するポイントが2箇所ほどあるのですが、うっかり大砂走りに迷い込むと足下がアリ地獄状態で、全然登れずに苦労します(我が家も最初の富士登山の際にやってしまいました……)。正規ルートを示す道標は立っていますが天気が悪いと見落とすこともあるので、そこだけは特に注意しましょう。

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うっかり登ってしまうと途中から正規の登山道に戻るのも苦労しますし、なんだか歩きにくい道に入ったなと思ったらすぐYAMAP等のGPSマップで現在位置を確認するといいでしょう。

マイカーで登山口までアクセス可能

夏山シーズン中の富士山3ルートは環境保全や渋滞緩和の目的から、登山口のある五合目までのマイカー規制がされているのですが(バスを利用することになります)、登山客が少ない御殿場ルートだけはなんと五合目の駐車場までマイカーでのアクセスが可能です。

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これまで9月に2回、8月に1回(宝永山登山で)利用していて、ガラガラの日もあれば多少混雑している日もありましたが、駐車場は毎回普通に停めることができています。

他の山と同じように自分のタイミングで登山口までマイカーでアクセスして、空いている登山道をマイペースで歩く。一度この快適さ(というか当たり前?)を味わってしまうと、少々他の不便があろうとも他のルートで富士山に登ることに抵抗すら感じてしまいます……。

御殿場ルートを登る際の注意点

さて、混雑が苦手な私にとって空いてるだけで最高な御殿場ルートですが、誰にでもオススメできる訳ではありません。以下は御殿場ルートの富士登山を検討する際に、絶対に知っておいて欲しい注意点です。

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長い!

他の登山口よりも500〜1000m近く自力で標高を稼ぐ必要がある御殿場ルート。歩く距離もそれだけ長くなりますし、時間もかかります(登りだけで他ルートよりプラス1〜2時間)。当然、それなりの体力も必要になるので、長時間の山歩きに慣れていない登山初心者はやめておきましょう。山小屋を利用した場合でも、2日連続で6時間近く行動することは覚悟しておく必要があります。

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2時間歩いても他ルートの登山口同等、という現実に耐えられるか!?

我が家は2回とも小屋泊で登っていますが、特に初心者が日帰りや弾丸スケジュールで挑戦することは一切オススメしません。次の項目でも書いてますが御殿場ルートは山小屋が少ないので、予定を変更して急遽小屋泊…… という場合でも、すぐに小屋にたどり着けるとは限りません。

山小屋、トイレがとにかく少ない!

各合目ごとに山小屋がある他ルートに対して、御殿場ルートの山小屋は7合目の「わらじ館」と「砂走館」、8合目手前の「赤岩八合館」しかありません。

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つまり、スタート直後の大石茶屋から標高差1500m、行程5〜6時間は山小屋もなく、水場もトイレもありません。体調不調の際に休憩したくても休憩所、救護所なんてありません。わらじ館のある7合目まで余裕を持って歩けるだけの飲料水、行動食の携行は必須です。

これらの注意点を読んで「御殿場ルートはちょっと心配かも? 」と感じた方は、無理をせずに記事後半で紹介している「プリンスルート」などを検討してみてはいかがでしょう。

吉田ルート七合四勺のわらじ館に泊まってご来光を見る

ちなみに私が2度登っている9月の夏山閉山直前になると、御殿場ルートで営業している山小屋はわらじ館(3090m)のみだったりします。予約の際は小屋の営業状況をよく確認しておきましょう。

他のルートの小屋のことは知りませんが、御殿場ルートのわらじ館は夕飯のカレーがお代わり自由で、いつもお腹いっぱいにさせて貰っています。

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最初に泊まった際は、宿泊客が自分たちを含めて4名のみで驚きました(笑)(2度目のときはそこそこ混でいましたが、それでも1人分の就寝スペースは確保されていました)

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このわらじ館から山頂までは2時間くらいかかるので、ご来光登山の場合はかなり早い時間に起きて出発する必要がありますが、私は特に山頂ご来光には興味がないので小屋の前からのんびりご来光を眺めています。雲海の上に広がる、夜明け前の空の美しさは格別です。

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標高3000mの朝はそれなりに冷えるので、ダウン等の防寒着は必須ですが、なにせ小屋の目の前にいるので寒くなれば小屋に避難すればOKです。

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ご来光を見て体が冷え切っても、温かい朝食を食べてしっかり温めてから山頂へ向かえるのが小屋ご来光のいいところですね。7合目で一晩過ごしているので、体も高度に順応してスムーズ登ることができます(体質、体調によります)。

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そんなタイムスケジュールならば山頂のご来光混雑ともぶつかりませんし、山頂に到着するのは8時過ぎだったりするのでスムーズに剣ヶ峯やお鉢巡りを楽しめます。

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夜中に小屋の前を通り過ぎて行く登山客と星空を眺める……

富士宮口から御殿場ルートに抜ける2つの混雑避けルート

そうはいってもやっぱり御殿場ルートから登るのはキツそう…… という人に紹介したいのが、標高2380mの富士宮口(富士宮五合目)をスタート地点にして途中から御殿場ルートへと抜けて混雑を避けるルート。

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富士宮ルート六合目から宝永第一火口に抜け、御殿場ルートに合流して山頂を目指すのが、現天皇陛下が皇太子時代に歩いたことから通称「プリンスルート」と呼び名の付いているルートです。詳細はわらじ館のホームページを参考にどうぞ。
わらじ館Photoギャラリー プリンスルート

ちなみに宝永第一火口の登り返しが、私の知ってる富士山登山道では一番急登でキツいです(笑)

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宝永第一火口の中を抜ける登山道

他にも富士宮ルート八合目の池田館裏から御殿場ルートにトラバースするルートがあります。池田館越えがやや難関(?)のようですが、詳しくは月山ももさんのブログ記事をご覧ください(赤岩8号館は八月末で営業終了するので、泊まりで検討する場合は注意してください)。

これらの2ルートから、下山路で御殿場ルート〜大砂走りというのは、かなりいいとこ取りの富士登山が楽しめそうですね。いや、本当に大砂走りは楽しいんですよ(笑)




渋滞や山頂ご来光ばかりが富士登山ではない!?

個人的に山はなるべくマイペースで歩きたい場所なので、少し歩く距離が伸びる位で混雑を避けられるならと、最初から当たり前のように御殿場ルート一択でした。しかしながら毎度あれだけ人の少ない登山道を見ると、富士登山を目指す登山客にはそれでも吉田ルートの方が魅力的なのかもしれず(もちろん安心感などもあるでしょうし)、それは仕方のないことなのかもしれません。

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ただ、冒頭での少し触れた富士登山のオーバーツーリズムは、実際は一部のルートやご来光登山に登山客が集中してしまうことが原因であって、混雑を避けた富士登山を楽しむ方法はあるのです。

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もちろんそのための経験や準備(体力作りなども)は必要になる訳ですが、せっかく日本で最も有名で高い山に登るのですから、あまり気軽に登ることばかりを考えず慎重に準備と計画を立てることで、定番ルートとは少し違った富士登山の景色を楽しんでみてはどうでしょう?という提案でした。

山と高原地図 富士山 御坂・愛鷹山 (山と高原地図 32)

山と高原地図 富士山 御坂・愛鷹山 (山と高原地図 32)

富士山ブック 2019 (別冊山と溪谷)

富士山ブック 2019 (別冊山と溪谷)

ちなみに私が次の富士登山として考えているのは、御殿場ルート以外を残雪期に日帰りで登ることかな。

* *

追記:YAMAPが今年の山の日に公開していた『山の日特別企画 - データで視る富士山』。ルートもですが、やはり時間帯による偏りの大きさ(山頂ご来光狙いの多さ)がよく分かります。そして、想像以上に正統派日帰りの登山者が多いんですね。これはYAMAPを使うユーザー層の偏りもありそうですけども。

富士登山の関連記事

今回は主に混雑しない富士登山ルートとしての側面から御殿場ルートを紹介しましたが、実際の富士山御殿場ルートの様子に関しては、過去のブログ記事を併せてご覧くださいませ。
特に2015年の富士登山は比較的、ルート各所の様子を細かく写真で載せていると思います(3本ありますが、今よりも記事1本あたりのボリュームは少ないです)。2017年はいい感じの写真ばかり(?)を並べて、ざっくりと記事にしたものです。

2017年の富士登山(御殿場ルート)

2016年の宝永山

2015年の富士登山(御殿場ルート)


YAMAPの山行記録(GPSログ)