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念願適う… カラパタールからエベレストの日の出を見た朝【エベレスト街道トレッキング⑦】

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ゴラクシェプで迎えるエベレスト街道9日目、今回のトレッキング旅の一番の目標であった「カラパタール」(エベレスを間近に眺めることができる丘:標高5550m)に登り、エベレストに登る日の出を見ます。日本を発って11日、遂にここまでやってきました……。


日の出前、暗闇の中をカラパタールに登る

無事もエベレストベースキャンプに辿り着いた8日目の夜。これまでで最も高い標高(ゴラクシェプ:5125m)での夜は、特にこれまでと変わらず眠りに付くことができました。相変わらず夜中に2度トイレに起き(ダイアモックスは数日前から飲んでない)、4時前に起床しました。

外の気温は氷点下10度を下回っていますが風がないので、日本の厳冬期の雪山に比べたらそれほど寒くない。上はフリースにハードシェル、下はメリノウールのタイツにトレッキングパンツ、風よけのレインパンツを履いています(頂上での防寒用ダウンはアタックザックの中)。
真っ暗な中、ヘッドライトを頼りにカラパタールのエントリーポイントに辿り着きます。

既に登り初めているトレッカー達。コースはほぼ一直線ですが、歩きやすい踏み跡は複数あるので、好きな所を歩けばOK。この季節は特に渋滞などはないので、自分のペースで登ることができます。

30分程でうっすら空が明るくなってきました。右手側を少し振り返るとヌプツェの隣にエベレストが顔を覗かせています。後で分かるのですが、カラパタールの下の方からエベレストは見えているので、前日もEBC帰りに立ち寄ってみれば良かったなぁ……(笑)

正面には鋭鋒プモリ。

早朝の寝起き、標高5000m台ということもあり、休み休み登っているトレッカーも多いですが(妻もかなり息苦ししそう)不思議と自分は調子がいいので、写真を取りつつ少し先行して登っていきます。1枚目の真ん中に見えているのがエベレスト。


実際にはまだこの写真ほど明るくは見えていないのですが、高度が上がると見える山がどんどん増えていきます。中央付近にはアマダブラムも見えています。2日前まであの麓のディンボチェにいたので、その手前の山を氷河沿いにぐるりと回ってきたのですよね。

標高5500mからだと8850mのエベレストよりも1000m近く低い7861mのヌプツェの方が高く見える。カラパタールからの距離はヌプツェの方が3km程度手前にある程度…… あまりにスケールが大きすぎてよく分かりません。

5時半くらになるとヘッドライトを使っている人がいなくなりました。後ろに氷河にヌプツェ、エベレスト……と凄い景色が見えていますが、今はひたすら登るのに必死なトレッカーたち。



6時前、そろそろ日の出時刻。


エベレスト山頂の雪煙?が太陽に反射しています。

プモリにも日が当たっています。目指すカラパタールの頂上はもうすぐ。

言葉にならない光景。何度も振り返ってはシャッターを切ってしまう。


アンテナっぽい構造物の先がカラパタールの頂上です。


念願のカラパタール(5550m)登頂

6時15分過ぎ、まだ人の少ないカラパタール山頂(5550m)に登頂しました。といってもカラパタールは山として認定されている訳ではないので(名前の通りあくまで「丘」)、認定ピークではないのですが、それでもトレッカーにとっては1つの大きな目標となる場所であることは間違いないのです。

遠くから見ると黒い砂や土の山に見えるカラパタールですが、実際の山頂はこのような岩の塊。山頂標識のようなものはありませんが、大量のタルチョが目印になっています。向こうに見えているのはロブチェからずっと見えていたプモリ。

念願だったカラパタール山頂にて。

そして妻とツーショットで記念撮影。エベレストBCに続いてカラパタールにも無事一緒に来ることができました。「YAK YAK YAK」帽子がヘッドライトで隠れてしまっていた!


標高5550mから見る世界

日の出時刻はもう過ぎていますが、なにせ世界最高峰を越えて日が昇るので、1時間程は山頂で待つことになります。
さっさと下りてしまう人もいますがせっかくのお天気ですし、何より風があまりないので防寒さえしていればしばらく過ごせそう(それでも冷えるので、妻は後で風邪を引いてしまうことに……)。

就寝前にロッジで買っておいたサンドイッチ(レストランメニューですが、頼むとお弁当にしてくれる)と山専ボトルのお湯で朝食にします。お湯(タトパニ)もやはり前夜のうちに買っておいたもの。エベレスト街道では保温ボトルの出番は殆どありませんが、このような時ばかりは役に立つので1本だけ持ってきておいて正解でした。

南東側にも凄い光景が広がっています。地図で見ると分かるのですが、カラパタールの手前で大きな氷河が3本合流しているようです。

少しズームすると分かりますが、中央の黒い編笠状の場所が下からカラパタールを見上げた際に見えていた頂上ぽく見える場所。確かにゴラクシェプやトレッキングルートの辺りは本当の頂上は位置から見えていません。

そうそう、エベレストとヌプツェをバックに記念写真…… 寒さのせいか表情が固い。間に覗いているのがローツェ(もう少し見えるのかと思ってた……)。私の右手のあたりがサウスコルですね。

エベレストベースキャンプも見えています。エベレストやローツェに登るには、あの強烈なアイスフォールを抜けていくのですね……。

そして今回の旅で最も近づいたエベレストの姿。中央が西稜でしょうか。右側の側面が南西壁でイエローバンドも確認できます。

目の前に迫るプモリ。5550mの視点から眺めても更に1500mも高いという事実…… そしてそれを言うと、エベレスト山頂はここから富士山1個分くらい高いという標高のインフレーション。

7時を過ぎていよいよ日の出。この時期太陽はエベレスト北陵の裏から上がるようです。




エベレストから昇る朝日

出ました。

ちょっとズレてるけどダイヤモンドエベレストでは?(笑)

太陽が昇るとカラパタールにも日が差し、一気に気温も上がります。太陽は偉大だ。



改めてスマートウォッチ(PRO TREK Smart WSD-F30)でカラパタール山頂にいることを確認。

YAMAPアプリによる標高の表示は5595m。地図やガイドブックによってマチマチなカラパタールの標高ですが(認定ピークではないので5540m、5550m、5643mと色々ある)、先っぽから少し下がった場所で5595mなので、5600m位ってことにすれば覚えやすいかな(笑)

続々と後続のトレッカーたちがやってきて記念撮影で賑わっているカラパタール頂上。

そして太陽が出てしまうと、しばらくエベレストは撮れません……。

突然「ドーン!!!!」と爆音がしたかと思ったら、クーンブ氷河を挟んだヌプツェの中腹で大きな雪崩が起きています。



「神々の山嶺」にも、ヌプツェの雪崩に関する描写がありますが、正直かなりビックリする大きさでしたよ。こんなのが日常的に起きているとしたら恐ろしすぎます。


氷河の上に見えているあの雪棚が崩れたのでしょうか……。


何時までも下りたくないけど……

別れを惜しむように同じような所をグルグル歩き回って写真を撮る私。なんというかとにかくこの場にいることが嬉しくて離れがたいのです。

後からやってきたトレッカーたちもどんどん下りていきます。

今回エベレスト街道トレッキングの旅で最大の快晴が、このカラパタール登頂日に訪れた幸運にただただ感謝。


そういえばこのアンテナって何かの観測機器なのか、携帯の基地局的なものか…… こんなにタルチョが絡んでいて大丈夫なのかな?

間違いなく宇宙が近い空!


本当にいつまでも居られそうですが、10時までにチェックアウトしなくてはいけないので、そろそろ下りることにします。

下りる間、ずっと氷河やエベレストが見えている幸せ。


ぶおおおおおお……(語彙力失)

それにしても凄い青空! 本当に雲ひとつない。


結構下りてきてもエベレストは見えてるんですよね。



この日もよくヘリが飛んできてはカラパタール前の平地に着陸しています。遊覧飛行かはたまたタクシー代わりか……。



下りてきました。


そして実はゴラクシェプからずっと先端が見えていたエベレスト。

ヌプツェの一部のように見えますが、ここがエベレストだったのか……。

ふふふ、見えてる見えてる。

時間は9時過ぎ、チェックアウトまで1時間を切っています。


ゴラクシェプをチェックアウトしてロブチェへ

ロッジの部屋に戻り荷物をまとめます。血中酸素濃度は70%台後半から深呼吸すればこれ位まで回復します。戻って来た直後のせいか、心拍は少々速め。


チェックアウトを済ませてから少し早めの昼食。エッグトーストとチベタンブレッドかな? カラパタール登頂記念に贅沢(?)して少し高いドリップコーヒー(Everest Filter Coffee)を頼みました。


なんだ、ロッジの窓からもエベレストが見えていたのか!

閑散としたブッダロッジのレストラン。この時間になるとトレッカー達は基本出払っていますが、あと1時間もすれば足の速いトレッカーが到着し始めます。


わんちゃんもお元気で!

ゴラクシェプ、もう少し高度で苦しむかと覚悟をしていましたが、実際はかなり快適も過ごせた2日でした。ブッダロッジも良かった。


昼近くになりようやく少し雲が出てきました。


このまま翌日も晴れてくれたら、旅は次の目的地であるチュクン〜チュクンリへと向かうのですが、天気予報を見ると残念ながら翌日から数日間雨となってしまうようです。ひとまずこの日は無理せずロブチェまで下りて様子を見ましょう。



おや、これはヤクでなくゾッキョ?

雲がモクモクと……





この後ろ姿は間違いなくヤク。

ここの登り、キツかったんですよねぇ。

そんな急斜面も馬に乗ったまま下りて行く(ヤク待ちしてるとこ)。


この日、EBCやカラパタールを訪れたトレッカーは最高の光景に出会えて、充実した帰路となっていることでしょう。

午後になるとあまりの日差しに雪が融けて川になっていました。

このお天気なので、ソーラー充電器は常にザックに付けた状態…… ですが、南側に進んでいるので背中にあまり日が差してくれません。

このソーラーチャージャーには相当助けられました。スマホ以外にもカメラ、スマートウォッチなど充電の必要な機材が多いので、宿で頼んでいたらどれだけ面倒だったか(お金もそれなりに取られますし)。

そしてナムチェで買ったクロックスの偽物サンダル(CROOS)。この時点でかなり愛着が湧いてしまい、ルクラで捨てるのが勿体なく感じ始めています(笑)


ロブチェに到着する頃にはこの雲。行きと同じシェルパロッジでは、顔馴染みになったお姉さんが笑顔で迎えてくれました。

またこのエッグカレー&ダルバートの元に帰ってきました。

「カラパタールの美味しい水」本当にカラパタールの水かどうかは不明。

そういえばエベレスト街道を歩く欧米トレッカーの多くは、飲料水等の携行にナルゲンボトルの1Lサイズを使っているのですが、ザックの外にぶら下げておくにしてもなんだか邪魔そうなんですよね。
我々は500mlサイズのナルゲンを使っていたのですが、寝る前にタトパニ(熱湯)を貰おうとキッチンに言ったら、ロッジのお姉さんに「こんな小さいのあるの!? かわいい」みたいな反応でした。やはり500mlは珍しいんですかね……。ドリンクホルダーに装着できて丁度いいと思うのですが。

次回の記事。

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写真まとめ
Everest Base Camp Trek - OKP fotolife

エベレスト街道トレッキングレポート


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